熊本には千利休の高弟でもあった細川忠興を源とする肥後古流という茶道があるのですが、そこで使われるお道具のひとつに長盆が有ります。肥後古流の特徴は武家の文化と言われていますが、この長盆も表面的な華やかさは拒否して質実剛健そのもの。しかもある程度木工を究めた者にしか作れない造りにしてあります。一見、四本の桟を組んで板をはめ込んで作った指物に見えますが、そうではなく一枚の厚板を刳って作った刳物です。写真でも解りますが四隅の裏側は筆返しの様に反っていますので鉋でスーと引き通す事はできませんし、底板を鉋を使ってフラットに仕上げるのも至難の技です。しかも茶道具ですからサイズや面の形状は決まっていて崩す事は許されません。しかし、刳物にする明確で理に適った理由が有ります。詳しくは省きますが、刳物にする事により接合部が一切無く壊れる箇所が有りません。正に「使い勝手が良く、丈夫で、綺麗な道具」となっています。本来仕上げはロー引き(実質無塗装)なのですが今回は普段使いをされるというお客様のご要望でエコタイプウレタン塗装をしています。今はまだ桑本来の色にはなっていませんが、時間が経ってやがてはあの魅力的な桑色になるのをお客様と共に楽しみにしています。
お客様からこれまでに、 [No,249ダイニングボード] [No,250フリー棚(3段)] [No,348炉付座卓] [No,517トイレットペーパーストッカー] を御注文頂きました。